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会話の科学から電話応対というプロセスを捉え直す

会話の科学から電話応対というプロセスを捉える

電話応対スーパーバイザー:雪野朱音

今回はシドニー大学の言語学教授、ニック・エンフィールドの名著『会話の科学 (How We Talk The Inner Workings of Conversation)』を参考に、会話の科学という側面から電話応対に適用できるアプローチを考察してみたいと思います。

会話におけるターンテイクメカニズム

会話におけるターンテイクメカニズム

会話において、いつ話し、いつ聞くかを理解することは、電話応対を含むあらゆる会話の基本的なスキルです。この概念は、電話応対する際に、会話の流れをよりよく管理するのに役立ちます。

会話の構造

多くの文化では、会話は一度に一人が話すという基本的な構造を持っています。これは重要な規範であり、例えば二人以上が同時に話し始めると、一般的には誰か一人が話を止めて他の人にターンを譲るでしょう。

・ターンの交代
話し手が自分の話し終えたところで、リスナーは次に話し手になる機会を得ます。これは非言語的な手がかり(例えば、顔の表情や身振り)や、言語的な手がかり(例えば、文末の下降調や一時停止)によって示されます。

・ターンの配分
誰が次に話すかは、現在の話し手が次の話し手を指名するか、誰かが自己選択して話し始めるかによって決まります。会話には自然な流れがあり、これを妨げることは一般的には避けられます。

・修復
会話者は時折、誤解や誤聞を修正するためにターンを取り戻すことがあります。このプロセスを「修復」と呼びます。

・重複と重なり
会話者が完全に話し終える前に次の話し手が始める場合があります。これは一見すると礼儀に反するように見えるかもしれませんが、実際には会話の流れとエンゲージメントを促進する役割を果たすことがあります。

以上のように、ターンテイクメカニズムは言葉を交わす上での微妙なルールやパターンを含んでおり、これにより私たちはスムーズに対話を行うことができます。

ポーズとフィラーワードの使用

会話において、間やフィラーワードは、さまざまな意味や感情を伝えることができます。効果的な使い方を理解することで、電話応対をより円滑に、より明瞭にすることができます。

フィラーワードとは、会話の間を埋めるための単語やフレーズです。日本語では「あの」「ええと」などがあります。会話における「ポーズ」と「フィラーワード」は、言語的なコミュニケーションの重要な側面であり、話し手が自分の考えを整理し、リスナーが情報を理解するのを助ける手段として機能します。

・ポーズ
ポーズは自然な会話の一部であり、複数の役割を果たします。ポーズは話し手が新たな情報を整理したり、次に何を言うべきか考える時間を与えます。また、ポーズはリスナーにも時間を与えて、話し手の言葉を処理し理解するのを助けます。さらに、ポーズは話し手が特定の情報を強調したり、リスナーの注意を引くためにも使用されます。

・フィラーワード
フィラーワード(つなぎ言葉)は、「あの」、「ええと」、「その」などの言葉やフレーズで、話し手が次に何を言うべきか考えている間に時間を稼ぐために使用されます。フィラーワードは、会話に自然な流れを持たせ、話し手がターンを維持するための手段ともなります。また、フィラーワードはリスナーに対して、話し手がまだ話す意図があることを示す信号として機能します。

ただし、フィラーワードの過度な使用は、話し手が自信を欠いているか、準備が不十分であるという印象を与えることがあります。したがって、フィラーワードの使用は適度に抑えることが通常は推奨されます。

言葉の手がかりを読み解く

電話では、非言語的な手がかりが得られないため、相手の意図や感情を理解するために、声のトーンや話すスピードなど、言語的な手がかりが特に重要になります。

会話修復

「会話修復 (カンバセーション・リペア)」とは、会話における誤解や行き違いを修正する方法を指します。特に電話では、正しい情報を伝え、理解してもらうために有効です。

会話における礼儀と形式

礼儀や形式を理解することは、特に仕事上、非常に重要です。電話秘書は、状況や相手に合わせて言葉を使い分けることができます。会話における「礼儀と形式」は、私たちがコミュニケーションを通じて相互に尊重し、理解し合うための基本的な方法です。これらの要素は、社会的文脈、文化、関係性、そして特定の状況によって大きく影響を受けます。

・敬意の表現
会話における礼儀の一部として、我々はしばしば敬意を示す言葉を使用します。これは、敬語、尊敬語、謙譲語といった形式の言葉を使うこと、または話者が聞き手の地位や役割を認識するための一般的な言葉遣いを通じて行われます。

・話し手と聞き手の役割
礼儀正しい会話では、話し手と聞き手は相互に尊重し、互いのターンを認識します。これには、適切なターンテイキング、会話のパートナーが話している間の適切な反応(頷き、適切なフィードバックなど)、または他人の視点を尊重するといった要素が含まれます。

・非言語的な礼儀
非言語的な礼儀もまた重要です。これには、適切なアイコンタクト、身体の姿勢、適切な個人的なスペースの保持などが含まれます。しかし、これらの要素は文化的な背景に大きく依存します。

・形式的な会話の規則
一部の会話環境はより形式的な規則を要求します。ビジネスミーティング、公的な場、教育的な設定などでは、特定の会話の規則が適用されることがあります。これらは話すタイミング、適切な話題、そして使用する言葉の種類を含むことがあります。

まとめ

これらすべての要素は、会話がただの情報の交換だけでなく、相互理解と尊重の表現であることを示しています。会話が成り立つ背景、構造、私たちが普段積み重ねている会話がどのように成り立っているのか?を捉え直すには、会話を科学的な側面から捉え直すことは非常に意義のあることです。

電話応対をスキルを磨く、向上させるには、ステレオタイプの意見だけではなく、このような言語学や会話の科学的な考察、アプローチから学ぶことも有効です。言語学や会話分析といった幅広い学問から得られたこれらの一般的なトピックは、電話応対のスキルを高める上で貴重な指針になるはずです。

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