仕事を進めていく上で、誰かと交渉する場面に直面することは、ほとんどの人が経験するものではないでしょうか。交渉とは、自分の意見や要望を相手に伝え、合意を目指すプロセスです。
しかし、その言葉の響きほど簡単なものではなく、実際に交渉を行うとなると、多くの人が「どう切り出せば良いのか」「相手を説得するにはどうすればいいのか」と迷ってしまうことが少なくありません。
・交渉は、単に自分の希望を伝えるだけではない
交渉は、単に自分の希望を伝えるだけではなく、相手の立場や状況を理解しながら、双方にとって最善の結果を引き出すという高度なコミュニケーションスキルが求められます。特に、ビジネスシーンでは、メールや電話を通じて交渉を進める場面が頻繁にありますが、これらは対面とは異なる難しさがあります。
・どれだけ明確に、かつ相手に好印象を与えながら伝えられるか
限られた言葉の中でどれだけ明確に、かつ相手に好印象を与えながら伝えられるかが鍵となります。そこで今回は「『交渉編』恥をかかないメールの書き方・電話のかけ方の例文と解説」と題し、メールや電話での交渉を成功させるためのポイントや具体的なテクニックについて、例文を交えながら解説していきます。
・より自信を持って交渉に臨むために
例えば、交渉の際に避けたい表現や、相手に共感を示しつつ自分の意見を伝える方法、さらには相手の反応にどう対応すべきかといった実践的な内容を取り上げます。これらを学ぶことで、より自信を持って交渉に臨むことができるようになるでしょう。
交渉は、スキルを磨けば磨くほど成果が出やすくなる領域です。ぜひこの記事を通じて、メールや電話での交渉力を一歩ずつ高め、自分の仕事やプロジェクトをよりスムーズに進めていけるようになりましょう。
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納期延長の交渉
・不確実性が高いこのご時世では計画通りにいかない場合も
新型コロナウイルスの感染拡大や自然災害の影響など、不確実性が高いこのご時世では、どんなに計画を練り上げていたとしても、納期に間に合わないケースが出てくることもあるでしょう。こうした状況は、どんな業界においても避けがたい現実となっています。しかし、だからこそ対応の仕方が重要になります。
・納期に間に合わない可能性が出てきた場合には、早い段階で迅速な対応を!
納期に間に合わない可能性が出てきた場合には、早い段階で迅速かつ誠意ある行動が求められます。特に、納期延長をお願いするメールを送る際には、単に「遅れます」と伝えるのではなく、なぜ遅れるのかという理由を具体的に、そして丁寧に説明することが欠かせません。
理由が曖昧だったり、誠意が感じられないと、相手は不信感を抱きやすくなります。たとえば、「新型コロナウイルスの影響で原材料の調達が遅れています」や「自然災害により生産スケジュールが大幅に影響を受けました」といった具体的な事情を伝えると、相手も状況を理解しやすくなります。
・新しい納期についても明確に提示すること
さらに、新しい納期についても明確に提示することが大切です。たとえば、「〇月〇日までに納品が可能です」といった具体的な日付を示すことで、相手にとって計画を立てやすい状況を提供することができます。この際、「この新しい納期までに確実にお届けするよう全力を尽くします」といった言葉を添えると、誠実な印象を与えられるでしょう。
もし相手が納期延長を了承してくれた場合、そのまま安心して終わらせるのではなく、すぐに感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。メールであれば、簡潔かつ丁寧に「納期延長をご快諾いただき、誠にありがとうございます」と感謝の言葉を伝え、了承いただいた新しい納期を改めて確認する形で締めくくると良いでしょう。
このひと手間が、相手との信頼関係をより強固にする大切なステップとなります。納期の遅れは決して好ましいことではありませんが、誠意を持って対応すれば、逆に相手との関係を深めるきっかけにもなり得ます。
大切なのは、問題が起きた際にどのように対応するか。その行動が信頼と評価に直結するのです。
<納期延長の交渉メール例文>
株式会社○○
○○様
平素は格別のお引き立てを賜わり、厚くお礼を申し上げます。
◆◆の◆◆です。
さて、本日は~の納期についてご相談申し上げたくメールさせていただきました。
納期はXX月XX日(X)でございますが、誠に申し上げにくいことながら、これをXX月XX日(X)まで延期していただけませんでしょうか?
実は、弊社~におきまして~にトラブルが生じ、作業の遅れが発生いたしました。
現在は回復しており、~で作業を急いでおりますが、ご指定の期日までには納品いたしかねる状況でございます。
このようなことを申し上げるのは誠に心苦しく存じますが、事情をご賢察いただき、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
取り急ぎ、お詫びとお願いを申し上げます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆(社名) ◆◆(フルネーム)
〒000-0000 (会社の住所)
電話 00-0000-0000 / FAX 00-0000-0000 / メール (メールアドレス)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」
今はメールでのやり取りがメインになっているところも多いとは思うのですが、納期延長などの差し迫った交渉に関しては電話のほうがいいかと思います。
焦ってしまう気持ちもわかりますが、一方的にならないように気を付けましょう。
<納期延長の交渉電話例文>
いつもお世話になっております。
◆◆の◆◆です。
今、お時間よろしいでしょうか?
本日は~の納期についてご相談させていただきたく、お電話いたしました。
XX月XX日(X)ということで承っておりました納期なのですが、これをXX月XX日(X)まで延期していただけませんでしょうか?
というのも、実は弊社~におきまして~にトラブルが生じ、作業の遅れが発生いたしました。
現在は回復しており、急ピッチ~で作業を進めておりますが、ご指定の期日までに納品するのが難しい状況です。
本当に申し訳ありません。
何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
では、失礼いたします。
面会の交渉
面会の交渉を行う際には、単に自分の希望を押し付けるのではなく、相手の状況や意見、要望を尊重することが重要です。面会の目的がどれほど重要であったとしても、相手に無理を強いるような態度は避け、柔軟で協調的な姿勢を心がけることで、スムーズな合意を得ることができます。
・こちらから面会の日時や場所を提案する際は
例えば、こちらから面会の日時や場所を提案する際には、「お忙しいところ恐れ入りますが、◯月◯日か◯月◯日でご都合の良い時間帯はございますでしょうか」といった具合に、相手に選択肢を提供するのが基本です。このように、相手に選択肢を与えることで、交渉が一方的な要求ではなく、双方の合意に基づくものだと感じてもらえるでしょう。
・相手が提示した都合に可能な限り柔軟に対応する姿勢も大切
また、相手が提示した都合に可能な限り柔軟に対応する姿勢も大切です。たとえば、自分のスケジュールを調整できる範囲で相手に合わせることで、「この人は自分の事情を配慮してくれる」と信頼感を持ってもらえます。こうした姿勢は、面会自体を成功させるだけでなく、今後の関係構築にもプラスに働くでしょう。
・面会交渉の際には、目的や意図を明確に伝える
さらに、面会交渉の際には、目的や意図を明確に伝えることも重要です。例えば、「貴社の新しいプロジェクトについてお話を伺い、具体的な提案をさせていただきたいと思います」といった具合に、相手に面会の必要性を納得してもらえる説明を心がけましょう。
この際、相手にとってのメリットも合わせて伝えることで、より前向きな反応を引き出せる可能性が高まります。最後に、面会の日程が決まった場合は、感謝の気持ちを忘れず伝えましょう。「ご多用のところ、ご調整いただき誠にありがとうございます」と一言添えるだけでも、相手に好印象を与えることができます。
<面会の交渉メール例文>
「株式会社○○
○○様
お世話になっております。
先日、~でご一緒にしました◆◆の◆◆です。
その節は、~についてお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。
~にて○○様にお話しさせていただいた弊社商品「XXX」を実際にご覧いただければと存じます。
ご多忙中の事とは存じますが、XX月XX(X)からXX月XX日(X)までの間でX時間ほど、お時間を頂戴することはできますでしょうか。
ご都合のよい日時を2、3挙げていただけましたら、ご都合のよい場所に伺います。
御面会がかないます場合は、お返事をいただけますと幸いに存じます。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討のほど、どうぞよろしくお願い致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆(社名) ◆◆(フルネーム)
〒000-0000 (会社の住所)
電話 00-0000-0000 / FAX 00-0000-0000 / メール (メールアドレス)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」
電話の場合、その場で「いついつならいいですよ」とすぐに返事がもらえる可能性もありますので、メモの用意をしておきましょう。
もちろん、折り返しの連絡を待つことになる可能性もありますので、変に急かすような言い回しは避けるようにしてください。
<面会の交渉電話例文>
「お世話になっております。
◆◆の◆◆です。
今、お時間よろしいでしょうか?
先日の~では、ありがとうございました。
本日は、~にて○○様にお話しさせていただいた弊社商品「XXX」を実際にご覧いただければと思い、お電話いたしました。
もしよろしければ、XX月XX(X)からXX月XX日(X)までの間でX時間ほど、お時間を頂戴することはできますでしょうか。
ご都合のよい日時を2、3挙げていただけましたら、ご都合のよい場所に伺います。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
では、お返事をお待ちしております。
失礼いたします。
値引き交渉
交渉にはさまざまな種類がありますが、その中でも特に値引き交渉は繊細で、慎重な対応が求められる場面です。値引きをお願いする際は、単に「安くしてください」と要求するだけでは、相手に不信感や抵抗を与えてしまう可能性があります。
・値引きを求める理由を簡潔かつ具体的に伝えることが大切
誠実さと礼儀を忘れず、相手の立場や事情を考慮しながら交渉を進めることが重要です。まず、値引きを求める理由を簡潔かつ具体的に伝えることが大切です。「予算内での収める必要がある」「他の提案との比較で決定を迫られている」など、正直で納得感のある理由を説明することで、相手も検討しやすくなります。
この際、理由が感情的だったり、曖昧すぎたりすると、交渉が進展しにくくなるので注意しましょう。
・具体的にどれくらいの値引きを希望するのかを明確に伝える
また、具体的にどれくらいの値引きを希望するのかを明確に伝えることもポイントです。「具体的な金額や割合を示さずにただ値引きをお願いする」よりも、「10%ほどの値引きをご検討いただけますと助かります」といった形で希望を示した方が、相手にとっても対応しやすくなります。
具体性があるほど、相手も現実的に対応を考える材料が増えるため、交渉の成功率が高まるのです。
・交渉の文面や話し方が一方的にならないよう十分に注意する
一方で、交渉の文面や話し方が一方的にならないよう十分に注意する必要があります。相手の負担やリスクを理解し、「ご検討いただけますと幸いです」や「難しい場合は代替案もぜひご相談させてください」といった言葉を添えると、柔らかい印象を与えられます。
これにより、単なる価格交渉ではなく、信頼関係を深める機会として相手に受け取ってもらえるでしょう。さらに、値引きをお願いした後、相手が提案や対応を示してくれた場合には、必ず感謝の意を伝えることが重要です。
「ご配慮いただきありがとうございます」といった一言が、相手に好印象を与え、今後の取引を円滑に進める助けとなります。値引き交渉はデリケートだからこそ、相手に敬意を払いながら進めることで、価格だけでなく関係性の価値も高めることができます。
適切な言葉遣いと具体的な提案を心がけ、双方にとって納得のいく結果を目指しましょう。
<値引き交渉メール例文>
株式会社○○
○○様
平素は格別のお引き立てを賜わり、厚くお礼を申し上げます。
◆◆の◆◆です。
商品「XXX」に関するお見積りを確かに受け取りました。
さっそくご対応いただきまして、ありがとうございます。
さてご提示の金額ですが、貴社もご配慮くださったこととは存じますが、弊社が希望している価格とはやや隔たりがありました。
ご提示の数字より、X%ほど価格を下げていただくと購入可能となりますが、再検討をお願いできませんでしょうか?
ご承知の通り、~により弊社も大きな影響を受けており、厳しい状況にございます。
事情ご賢察の上、ご理解をいただければ幸いです。
なお、価格条件によりましては、将来的にはお取引も増やしていきたいと考えております。
その点も含みましてご相談をさせていただければありがたいです。
お手数とは存じますが、ご検討をよろしくお願い申し上げます。
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◆◆(社名) ◆◆(フルネーム)
〒000-0000 (会社の住所)
電話 00-0000-0000 / FAX 00-0000-0000 / メール (メールアドレス)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」
電話の場合、言い回しはもちろんですが、声のトーンにも気を付けましょう。
威圧的な印象を与えてしまうのはNGです。
<値引き交渉電話例文>
いつもお世話になっております。
◆◆の◆◆です。
今、お時間よろしいでしょうか?
商品「XXX」に関するお見積りを確かに受け取りました。
さっそくご対応いただきまして、ありがとうございます。
そのご提示の金額についてなのですが、弊社が希望している価格とはやや隔たりがあるように感じました。
ご提示の数字よりX%ほど価格を下げていただくと購入可能となるのですが、再検討をお願いできませんでしょうか?
~により弊社も大きな影響を受けており、やはり厳しい状況にございます。
価格条件によりましては、将来的にはお取引も増やしていきたいと考えておりますので、改めてご相談をさせていただけますと幸いです。
ご検討をよろしくお願いいたします。
では、ご連絡をお待ちしております。
失礼いたします。
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